0211
誰かが苦しさを感じなければならない
誰かが苦しさを背負わなければならない
そういう人が必要なんだと思った
みんなが幸せだったら、一体だれが苦しさの役目を背負えばいいのだろう
誰が引き受けるのだろう
みんながみんな、幸せの方向へと進んでいったら、そっちのほうに、軸が傾くんじゃないのか
やじろべえみたいに、どっちかにばかり重さが加わっていったら、そのうち本体そのものがくるっと反転してしまうんじゃないのか
地が、くるっとまわってしまうんじゃないのか
前のめる人がたくさんいる一方で、その後ろで、どっしりとかまえてないといけない人たちだっているんだ
みんなが前のめっていったら、傾くだろう
崩れるだろう
地が
空間が
物理的にも、精神的にも、そうなんじゃないのか
だから、前へ前へいく人たちがいる一方で
後ろへとどまる人だってその分出てくるんだ
何かを勝ち取ろうとしたり、進んで明るく向かおうとする一方で
後ろで引きこもって、前へ出ないように、全体が傾かないように、そういう重しの働きをするものだってあるんだ
そんなふうに、世界は均衡をたもっているんじゃないかと思った
じゃあ、すべての人が幸せになることはできないのだろうか、とかそういうことは正直よく分からない
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない
すべての人が幸せになることだってあるかもしれない
でもそこには、やっぱり、一番前と一番後ろとで差があって、その差で均衡を保つようになるんじゃないかと思う
総体や全体的には豊かさや幸せの度合いが増していっても
きっと同じだけの強さにはならないんじゃないかな
すべてが同じだけのものをもつというときは、それこそ本当にすべて平均通り、すべて同じ値、度合いになって、差もなくてっていう、そういうときになると思う
そういうふうに、なっているんじゃないかなと思った